研究内容

主な研究テーマ

高密度プラズマの生成・制御,高フラックスイオンの加速に関する研究

 レーザーアブレーションにより固体から直接生成する高密度プラズマを対象として,磁気ノズルによるプラズマ加速技術や高フラックスイオンの高輝度引き出し技術を開発し,重イオン慣性核融合ドライバー加速器用大強度イオンビーム源や宇宙探査機用のイオンスラスタなどへの応用を目指して研究を行っています.具体的には,以下の研究テーマを推進しています.

  • レーザー生成プラズマ流の磁気ノズルによる指向性の制御
  • ソレノイド磁場中の高密度プラズマ流の輸送特性 
  • レーザー生成プラズマ流の2次元分光イメージング技術の開発
  • 凝結気体標的を用いた無限寿命レーザーイオン源の開発
  • レーザー照射用液体金属標的の開発
  • Hybrid-PIC法による発散磁場中レーザー生成プラズマの挙動解析

レーザーアブレーションを用いたクラスタービーム生成に関する研究

 同じ原子の集合体であるクラスター(ナノ粒子)のイオンをGeV級の高エネルギーまで加速して物質に照射すると,従来の単原子イオン照射とは桁違いの超高エネルギー密度状態を物質中に作ることができるようになり,新しいイオン注入技術や慣性閉じ込め核融合のエネルギードライバーへの応用が期待されています.我々は,レーザーアブレーションにより発生した蒸気をヘリウムガスにより急冷することで,クラスタービームを効率的に生成・供給する手法の開発を行っています.

  • レーザーアブレーションによる金属クラスターイオンの直接供給に関する研究
  • レーザーアブレーション型金属クラスタービーム源の高フラックス化に関する研究

静電閉じ込め核融合を用いたコンパクト中性子源に関する研究

 放電で生成した重水素イオンを静電的に加速し互いに衝突させることで発生する核融合中性子を利用したコンパクト中性子源を開発しています.爆発物検知,トンネルや橋梁の健全性評価,地下資源探査,核廃棄物の高感度検出,中性子捕捉療法など,社会の安全安心に関わる幅広い産業分野おいてその利用が期待されています.

  • 直線型慣性静電閉じ込め核融合中性子源における粒子挙動の分光解析
  • PIC-MCC法による慣性静電閉じ込めプラズマの挙動解析

高エネルギークラスタービームの生成に関する研究

 カーボン60(フラーレン)は炭素分子同士が強く結合している一方で構成原子数の割に分子サイズが大きく,高電離イオン化に適しています.これまで静電加速器によるフラーレンイオンの加速については多くの研究がなされてきましたが,エネルギーは高々50 keV/核子程度にとどまっていました.近年,クラスター加速に適した誘導加速シンクロトロンの原理実証が行われ,さらに高エネルギー(>100 keV/核子)までクラスターイオンを加速できるようになりました.こうした加速器に高電離フラーレンビームを高フラックスに供給するために以下の研究テーマを推進しています.

  • 電子ビーム照射型フラーレンイオン源の開発

卒業生の学位論文テーマ

卒業年 名前 論文題目 学位
2024 新井 晧士郎 放電型核融合中性子源における陽極ビーム負荷の研究 学士(工学)
2024 井上 湧次 クライオ標的を用いた長寿命レーザーイオン源の高電離炭素イオン供給特性 修士(工学)
2024 西下 匠摩 長寿命炭素標的レーザーイオン源の高価数イオン生成・輸送特性 修士(工学)
2024 松原 直暉 昇華気体層のレーザーアブレーション過程に関する研究 修士(工学)
2023 松田 和大 PIC-MCC 解析による慣性静電閉じ込め核融合中性子源の高出力化に関する研究 修士(工学)
2022 井上 湧次 クライオ標的を用いたレーザーイオン源の炭素イオン供給特性 学士(工学)
2022 神内 拓真 レーザーアブレーション型クラスター源における粒子フラックスの背景ガス流依存性 修士(工学)
2021 谷 亮太朗 収束・発散磁場を通過する高速プラズマ流の分光イメージング 修士(工学)
2021 松枝 泰志 直線型慣性静電閉じ込め中性子源の核融合反応率に対する空間電位分布の影響 修士(工学)
2021 松田 和大 1次元PIC-MCC法を用いた慣性静電閉じ込めプラズマの挙動解析 学士(工学)
2020 板垣 智信 直線型慣性静電閉じ込め核融合中性子源における粒子挙動と中性子生成率の陽極形状依存性 博士(工学)
2020 臼井 智哉 2次元分光マッピングによる磁気ノズルを通過するレーザーアブレーシヨンプラズマ流の挙動解析 修士(工学)
2020 田端 真之介 直線型慣性静電閉じ込め装置内のイオン運動に対する陽極形状及び放電モードの影響 修士(工学)
2020 田原 寛大 レーザー生成プラズマから引き出されたイオンビームのエミッタンス計測 学士(工学)
2020 神内 拓真 飛行時間型質量分析装置の加速ギャップのパルス化に関する研究 学士(工学)
2019 石川 裕太 レーザーアブレーション型金属クラスタービーム源の高フラックス化に関する研究 博士(理学)
2019 馮 雲皓 パルス磁場を用いた電子ビーム照射型フラーレンイオン源の開発 修士(工学)
2019 Justian Harkho PICシミュレーションによる直線型慣性静電閉じ込めプラズマの解析 学士(工学)
2019 張 以澤 3次元モンテカルロコードによる慣性静電閉じ込めプラズマの解析 学士(工学)
2018 千葉 凜平 太陽風プラズマによる惑星地表面のスパッタリング 修士(理学)
2018 奥友 航平 発光分光分析による慣性静電閉じ込め装置のイオン運動メカニズムの解析 修士(工学)
2018 橋本 和也 電子衝突電離によるフラーレン多価イオン生成に関する検討 修士(理学)
2017 藤井 洋樹 レーザー生成プラズマ中のイオン運動量分布に及ぼす縦磁場の影響 修士(工学)
2017 中村 晃士郎 昇華・電子照射方式を用いたフラーレンイオン源の開発 修士(工学)
2017 若林 裕人 レーザー生成高密度プラズマ流の磁気ノズル制御 修士(工学)
2017 松尾 寬昭 希薄な背景ガス中を進展するレーザーアブレーションプルームの挙動解析 修士(工学)
2016 石川 裕太 ヘリウム雰囲気中レーザーアブレーションにより生成されるシリコンクラスターの質量分布測定 修士(理学)
2016 高田 瑛央 時空間閉じ込め型クラスター源の動作特性解析 修士(工学)
2016 馬場 栄介 タンデム加速器のための高フラックスフラーレン負イオン源の開発 修士(工学)
2016 平出 紘也 レーザー生成プラズマからの高輝度マルチビームレット引き出しに関する研究 修士(工学)
2015 金丸 悟 高輝度イオンビーム引き出しのためのレーザー生成プラズマのイオン価数・フラックス制御に関する研究 修士(工学)